第1章 𝓟𝓻𝓸𝓵𝓸𝓰𝓾𝓮
誰しも、言えない過去がある。
暴かれたくない過去がある。
私にも、そんな過去がある。
私は才能がない。
誰からもそう言われ続けてきた。
何をやっても中途半端で、周りの期待に応えられなかった。
だから、私はいつも一人だった。
影のように、目立たずに生きてきた。
でも、ある日、彼に出会った。
彼は誰よりも自由で、誰よりも輝いて見えた。
そして、私の過去も、私自身も否定しなかった。
『お前はお前のままでいい』
その言葉は、初めて私の胸に届いた。
それから少しずつ、私は変わり始めた。
完璧じゃなくても、才能がなくても、自分らしくいることが、何よりも大切だと気づいた。
過去の重さはまだ消えないけれど、それを抱えながらも、前に進める勇気をくれたのは、あの出逢いだった。
これは、私が私になるための物語−−−
そして、これから始まる未来への一歩だ。