第8章 再会(さいかい)
最後に…
最終選別に向けての修練で、させられたのが……
木道(もくどう)の修練だった
目的は、何時でも安定して技を打てるようにする為
時速30kmで流れる、深さ20m,幅18mの川の一番流れが速い真ん中
その上に掛かった50cm四方の木板が連なった道だった
それらの重心は皆異なっていて、渡ればまた変わるらしい
重心のある部分を踏まなければ沈み、次の板に飛び移るまで30秒も超えれば沈む
広さ20cm四方の点を見極め爪先立ちを続ける以外、長く乗り続けることは出来ない
恵土「沈んだら網まで一直線だから気を付けろ
滝の手前にある縄を伝って上ってこい
この修練を超えれば…
平衡感覚(バランス)、重心を見極める目(観の目)、体幹、持続力が身に付く
記憶せずとも即座に判断していなせるようにもなる
どんな時でも威力を常に一定を保ち、どんな足場でも安定して技を繰り出せる
それだけじゃない…敵の重心の穴を瞬時に突けるようになる
敵の血鬼術なんて、直接相対しなければその時までわからない
わからなくとも即座に対応するには、即座に見るだけで判断して動かねば即
死ぬ」
しのぶ「!」ごくっ
恵土「それぞれで傾きが違うからわかるはずだ」
しのぶ「なるほど」
恵土「1mmのずれも赦されない
その差が、命を救いもするし落としもする
確実に見極め速攻で動けるようになれば、命を危うい状況に落とされることに何度遭っても
必ず生きて帰れるはずだ
安全対策は万全にしてある
たとえ刀で斬り付けても決して斬れない
5万個も連なって家に着ける
もし沈めば最初からやり直しだ
掴んでも勢いが凄まじいから私でも流される
頑張れ
それ以外にも林道もあるが…
お前なら出来ると信じてる」
ふっ
一瞬で全ての木道を渡って走って行った
2.5kmもの道のり…
その中で、浅瀬となる端の方にある木道で水遊びをする子供達が口を開いた
「恵土に鍛えられた人、必ず生きて帰ってるもの」
「師事された人もね」こくこく
しのぶ「そっか…
(死んで欲しくないんだ」
ぽつりと湧いて出た想い
それを胸に、最後までやり切ることを決めた
ぱあんっ!
頬を自ら叩き、じんじんと痛みと熱が走る
しのぶ(やるぞ…)
そんな気概も虚しく
ほんの少しのずれで容易く傾き、振り落とされた