第8章 再会(さいかい)
息が弾む
視界が揺れる
気持ちが悪い
そんな心境の中、必死にふらつきながら木刀を握った
上段に構えて、真っ直ぐ振り下ろす
それだけなのに
簡単に見えて、力の伝達、連動が少しでも異なると修正が即座に入った
何度も何度も素振りをしている内、呼吸が整ってくると
一番楽な呼吸だと反芻するように言われた
両足だけじゃない
両腕も使わないと通れないような
そんな道なき道ばかりで、体幹だけでなく平衡感覚も求められた
死ぬほどきつい…でも、それを顔色一つ変えず、常に並走して一緒に同じ数振り続けてくれていた
付き合ってもらっている以上、情けない真似は出来ない!
そんな想いで、動かない身体に鞭を打って、必死に素振りを続けた
呼吸も続けた
恵土「よし、回復するぞ!」
しのぶ「え?」
素振りの回数が500を超えただろうか…
そんな時に、急に光となって全身の疲れが飛んで力が漲ってきた
突然のことで目を丸くする中
恵土「反芻出来てるか確認だ!
素振り5000回!!」
しのぶ「ええ!!?」
恵土「軸がぶれてる!もう一度!!」
しのぶ「はい!!」
恵土「もうすぐで昼だぞ!頑張れ!!」
しのぶ「はい!!」
そうして……気付けば、隠から食事を提供されていた
しのぶ「もう…動けない)ぜえ、ぜえっ」仰向け大の字
恵土「これから休憩でご飯を食べるが
回復してからだな
1時間休憩時間とするから、食事をしながらでいい
自分の全身の動きを思い出しながら書いてくれ
私もその動きで素振りをする、その型を頭に刻み付けろ」
しのぶ「はい!!」
息を荒らしながら、必死に叫んだ
その時、色々と助言を貰った
恵土「小さい奴には、小さいなりの利点がある
まず手足が短いと回転が早い、小回りが利く
動作が終了するまで、技を打ち終えるまでが早い
切り替えが素早く行いやすい」
しのぶ「なるほど」必死に聞き逃すまいとメモメモ
恵土「確かに大きいと威力は強いが、当たらなければ意味はない
小さい方が身軽な分、動きは自ずと速くなる
加速は力になる
お前も私も、突きが得意な点は同じだ
筋肉の付き方が似ているからな
見ていて分かったことだが…
小柄であることを嘆くな
それを武器に変えろ
そのことに視点と重きを置け
しのぶ「はい!!」
まずは己を知り、武器を持て」