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化身来華【鬼滅の刃】

第1章 始まり(はじまり)





地獄のような遠い時間の中で…必死に母と姉と守り合って、その日暮らしの毎日を続けていた



外では女の尻を触ったり袴越しに勃った陰物を押し付ける等、やりたい放題の盛りを繰り返し続けていた

だが優しい体を装って、いい印象を植え付ける術に関しては、父は誰よりも秀でていた
その為、誰もこちらの悲鳴には耳を傾けず、誰も信じてくれず、助けてもくれない日々が続いた


洗脳され、それが無い日の方がおかしいとすら感じていた

母や姉を少しでも守れることが嬉しかった
力に少しでもなれたらと必死だった


七歳の夏、八月のお盆に強姦された
内容としては肛門に中出しされ、「浣腸してやったんや」と言い、笑って何事も無かったかのように接される始末

終いには、外でも女性相手に何かしらやらかしていた



自分の思い通りにならなければ何でもする在り方は変わらず健在で、増長を激しくしていた



明治二十八年十月三十一日

三都神社にて
その階段の先、鳥居がある場所よりも下の方で腰掛け

恵土は空を見上げ、空を自由に飛ぶ人を見て、一言呟いた


恵土「おかしいなあ…
なんであんなのが見えるのかなあ?

人が飛んでるなんて見えないって皆(みんな)言うし…)


母からの遺伝、か」ぽつり

霊感…後にそう呼ばれるそれは、当時では異端とされていた


母は十一歳に見えるようになったが、弱い証拠だと母の父母に言われ厳しく躾けられたのだという

後に神様にお願いして見えなくしてもらったと
その際に十八金で出来た十字架の装飾品(ネックレス)を賜ったんだとか

恵土が見えるのは、性交無しで妊娠したこと、処女受胎であることも関連しているのだと、母から聞かされていた
喋れるようになった二歳頃に見えているとわかったがその前からではないかとも


父からの遺伝病である鼠経ヘルニアで入院した
六歳でのことで、一月丸々治療に費やされた


恵土「でもお母さんと一緒に居られるのは嬉しかったなあ…(にこ)

って、言ってる場合じゃないんだった!
買い物を済まさないと!)

市場に行って、油と燐寸が切れかけているから買うこと、っと!」

そう言うや否や、買い物に走り出して行った


冬に備えてのことだった


しかし…
それが、自らの、家族の運命を決定づけることになるのだと

当時の恵土には知る由も無かった……


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