第29章 化身化(けしんか)
死屍累々から回復した頃には日付も変わっていた
初代は…一兆五千億年生きているが…
記憶と自我は百三十八億年しかなく、命に至っては残り四百六十年しか無い
本来なら寿命は無限にあり…記憶と自我は生きた年数分在るはずだった…
私の場合…
魂としては…
2700年前に生まれてきたが…
24.84年の自我と記憶しか無い
残り寿命は恐らく…初代と同じ、一兆五千億年にまでなっていると思われる
23年という私の生涯では…0.2116年
分かりやすく言うと77日分しか無い
それは一律…同じ割合を保っている
『大体2か月半か)…』
実在化とは
己が身を削り、本来なら各個人が咎めを受けて削られるべき所を代替する行為に外ならない
だからどんなに悪いことをしようと実在化し続けていられる
私が肩代わりしているから…
消える最後の瞬間まで更生の機会を与えるのが、私の役割だから
それが…原初の始祖神としての責務だ
創世神の親…だった頃
その分体を全ての魂に与えた
癌の闇から、身を守る為に
守りが
癌の罪との同化を防ぎ
私の命と自我と記憶が
罪の無い者のみへ植え付けられた癌の罪を浄化して消滅させ、無力化する
という役割を担っている
各々が支払うべき分を支払う、身代わりになることを意味する
全ての母体とはそういう意味だ
人を見ず、人の心を見ず、
好きにして、何も痛まぬ心…
人を見る心を無くしたもの……
それが……癌の正体
日輪刀は、それを討つ降魔の剣
その為に神が自ら、岩山を陽光山へと変異させ、
それで刀を打つことを産屋敷家へ伝え、陽光以外で鬼を討つ唯一の武器とした
日輪刀は神の力の凝集体であり
一時的に玉鋼に宿ってあるだけに過ぎない
期間は…全ての鬼が朽ちるまで
それが過ぎれば…ただの玉鋼へ戻る
だから戦国時代のものでも、鬼に対しても効果を発揮する
鬼がいる限りは…終わりではないから
そう説明を簡潔に伝えた…
小芭内「以上で説明は終わりか?」
恵土「ああ…
長くなって…時間を取らせてしまって…済まない」
『気にするな』
実弥「しかし…動きを見るに柱として復帰出来るんじゃねえか?」
恵土「ごめんだけど無理だ…
戦いの後どうなるかわからん
この身が持つかも微妙な所だ
正直な
柱として活動を続ければ確実に死ぬとあまねも言ってた」
