第3章 刀鍛冶の里(かたなかじのさと)
それから…
別れ際
「達者で暮らせよ!」
「元気でね」ぐすんっ
恵土「ありがとう!」
笑って手を振ってお別れした
背を向けたまま、振り返ることも無く、自らの鎹鴉・蒼榮と共に走って行った
その背に、耀哉は見えなくなっても手を振り続けたという……
そうして…
11月29日から初任務に向かい
剣を握って一月(ひとつき)
12月14日付(づけ)で、柱となった
その折には、12月13日に通達があり、その日の内に帰ってくるように言われた
恵土「伊豆(いず)だあああ」
恵土「矢切(やぎり)だああああ」
恵土「遠里(とおさ)だあああああ」
蒼榮「遠里小野(おりおの)だ!!」
あっちこっちに走り回り、縦横無尽に行き交い
列車や人力車、様々なものを使って、移動しての道中でだ
襲い掛かってきた鬼は下弦の鬼から無数の鬼までおり
全て一網打尽に屠り続けていた
恵土「じゃんじゃんかかってこお~いい!!」刀を構えて不敵に笑って叫ぶ
蒼榮「調子に乗るな!気を付けろ!!」
恵土「わかってらあい!」ぶおんっ!!
刀を横凪ぎに振るい一網打尽に斬り伏せる
一晩で50もの鬼を倒した際、最終選別の時と同じように…次から次へと倒してみせた
その内…彼女が通った道には鬼が現われないとまで言われ、囁かれ出した
旅立ち(11月29日)から半月もしない内(12月11日夜)に甲(きのえ)となり
その一日後(12月12日夜)に下弦の鬼1人も含めて51もの鬼を斬り捨てたことから…
引退する柱(水柱、鱗滝さん)もおり、空席も出来たことから柱となった
その道中の内に、同期から相談を受けており
その折に里を作ることを提案し、お館様に相談し打診した結果了承を貰い、自らの家を作ることとなった
元々天然の要塞となっている場であり、鬼でも入れないぐらいであることから、隠れ家ともなった
その中でも変わり者の鬼に遭遇したことがある
恵土「……なんだこいつ」唖然
剣を構えたまま固まっていた
鬼「ステーキ!!トンカツ!!ビーフ!!
洋風の肉が食いたいんだよおおおおおおお!!!
人間なんてやなこったああああああああああああああああああああああ!!!!!」
恵土「こいつ…鬼じゃねえんじゃね?」ぽかーん
一滴も飲みたくねえええええええと泣き叫ぶ鬼に
唖然としたまま呟いた
