第26章 天変動地(てんぺんどうち)
ずっと俯き気味で…瞑目し…歯噛みし…苦しそうに震えていた
そして…
お館様に一度話して報告し、それから実践してから伝えることとなった
原初の神々、全ての歴史の総括(57〜62ページ参照)を――
恵土(歩けない…
恐い……)かたかたかたかた
その場で動けず
日輪刀を震えた手で辛うじて直すも
そのまま微動だに出来ずにいた
その手を引っ張ってくれたのは…
しのぶだった
しのぶ「行きましょう
無惨を倒す…
それに変わりはないはずです」真剣
恵土「………
ああ」微笑し頷く
ぎゅっ
道中
重々しい空気、静まり返った様子に…
柱達は冷や汗を隠せず、血の気が引いたままの恵土を見やった
恵土「……
(無惨…
無惨「何故…私を生かした?」
………………)
わかんねえよ…そんなの」
その問いを思い返し、呟いた
恵土(でも……
少しは…いいように転がると思いたかったんだ…
信じたかったんだ……
癌が、癌で無くなる可能性に…賭けたかった……)
その想いは…無惨は、言われずとも察していた
だからこそ……
無惨は下した
あの決断(1月12日まで襲撃せず決着を付けること)を
初代『あんたの肩に掛かってるんだからね!!』
恵土「………わかってるよ……
でも……………)
もう…疲れたよ」
ぽつりと呟く声…
それは…闇の中へ溶けていった
産屋敷邸
緊急ということで、耀哉がすぐに話を始められるよう構えてくれていた
耀哉「さて…聞かせてもらおうか
何があったんだい?
そして…無惨に何を言われた?
その様相から尋常ならざることは把握出来るが…」
恵土「まず……
一つだけ
私を嫁として迎え入れて、癌で無くなる手助けをしろと
そして……
あいつは、魂の力を使っていた…
魂の力は、魂の力を持ってしか破れない」
小芭内「あの目に見えない壁か」
こっくり←恵土が頷く
恵土「そして……
私も魂の力を使った…
だが破れなかった
『!!』
恵土「恐らく……
………………(顔を上げ、口を開き…瞑目し、やっと口から重々しく声を出す)
血鬼術では無い…
これまでの全ての鬼を喰らったことで
数人を残して、全て吸収したことで…
癌としての力が、覚醒めたのだと思われる」
耀哉「……なるほど…
それはどういった力だい?」