第21章 創傷(そうしょう)
鬼を人間に戻す
老化
分裂阻害
細胞破壊
筋弛緩
身体脆弱
思考低下
五感喪失
月代さん…
カナエより先代の花柱は、医術に詳しく精通しており、珠世さんと出会った折に色々と助言をしていた
戦闘に置いて、もし損なわれれば致命的な部分、それらを念頭に置いて話し合い、その薬の基盤を作り上げ…
7月5日に戻ってきた際(169ページ参照(7月4日時のやり取り))には既に完成品と言っていい仕上がりであった
同時に…それらを一つにし、一包化された一つの液剤(注射薬)として、掠り傷一つで効果が瞬時に発揮出来、赫刀(180℃以上)や神刀(250℃以上)であっても効果を一切損なわず蒸発しない沸点、どれだけ光速で振ってもどれだけ衝撃を受けても摂取されるまで離れない粘着性、鬼の体内の血(無惨細胞)に触れなければ効果を発揮しない局所性を併せ持った代物(しろもの)を作り上げた
後は刃に塗るだけという特質な
中でも特筆すべきは…臭いも何も無く、感じさせないこと……
更に言うと…
斬られれば斬られるだけ
効果は何重にも発揮され、相対的では無くその更に倍、二乗(じじょう)的に増してゆく優れ物
しのぶとカナエと月代、珠世が長年、無惨との戦いに備え、何年にも渡って無惨を倒す為に知略を凝らし、知恵を絞り合い、完成された毒……
懇意に付き合っていたのは…
人として、互いを認め合っていたからこそだった……
珠世は医術に精通しており(医師)
月代さんも同様、ただし戦闘における医術の方が詳しい知略家(医師)
カナエは薬学よりは医術が得意(医師)
しのぶは医術より薬学に精通している(医師、薬剤師)
各々が各々の強みを活かし切った結果とも言える
しのぶに至っては英文誌も読み漁っており、それに三人が付き添う形で生み出され、その結果完成した代物でもある
血鬼術を無効化する毒…
それは鬼に投与する用と、口に含み周囲に霧状に散布して吸わせ無力化する用(飲んでも効く、人体には無害)がある
しかし…毒は諸刃の剣
再生されてしまえば終わり
耐性が付いてしまえばもう効かない
鬼の全てへ、その情報を与え対策されてしまう
下弦の参にすぐ使わなかったのも、最後の切り札として取っておく為だった……
今から手札を全て明かしていては対策されてしまうから
そして…恵土は2か月、昏睡状態で目覚めなかった
