第2章 最終選別(さいしゅうせんべつ)
一度刀を貰った後
日輪刀を握ったまま手を畳に添え
静かに後ろへ、部屋の端まで下がり
その後に左側へ置き、それから刀を両手で持ってみせた
抜けるような構えでは無く両掌の上に乗せて、胸の前で
そして再度、お館様へ向けて頭を下げた
これらの動作の際、常に正座したまま動いている
敵意は無いと他へ示す為の重要な動き、作法だ
その辺り、礼儀作法においては母に厳しく躾けられたので骨身に染みており、今も自然と体が動いてくれている
心の中で再度母に感謝する中、刀に手を掛けた
逆手ではなく順手で持ち直した後、抜く為に
正座したまま抜いて、立ててみせると
徐々に光が柄側から順に刃先まで灯っていき
眩いばかりの光が煌々と照らし出していた
恵土「これ……は……
色?
何色?」おろおろ
刀身が光り出す等、未だかつて聞いたことも無い
今までに見たことも無い変化に愕然とし、聞いていた内容とあまりにも異なる為、おろおろと困惑したまま周囲を見渡した
愕然としているのは皆もまた同じであり、口を噤んで変化を見守って、そのまま硬直してしまっていた
恵土「あの…えっと?」きょろきょろ
お館様「これは…見たことも無い色だね」
柱「はい…
恐らくは、未知の呼吸の技なるものの可能性もあり得るかと」
その言葉に外の柱達は大きく頷いてみせた
お館様「さて…最終選別は明日だ
今日はしっかりと休んで、明日に備えるといい
期待しているよ」
恵土「はいっ!←背筋を伸ばす
ありがとうございます!←頭を下げる
それでは失礼致します」頭を下げたまま退室する
常に正座したまま、静かに剣を脇に帯刀し、そのまま背を向けずに退室した
『絶対七歳じゃないだろ(七歳の動きじゃない』
と視線が集う中、恵土は眠りに付いた
そして…十一月半ば、日付も変わり夜も更けた頃
藤の花が年中咲いている藤襲山(ふじかさねやま)へ向け出立した
耀哉から言われていたのは産屋敷家を出立する日までの期限であり、難無く間に合った
その日の夜、藤襲山で案内人より説明を受けた
「今宵は鬼殺隊最終選抜にお集まり下さりありがとうございます
合格条件は『藤襲山で7日間生き延びること』
それでは皆さん、頑張って下さい」
最終選別に入る前に、懐から藤の家紋が刻まれた一つのお守りを取り出し、手に取って見つめた
