第19章 夏祭りの惨劇(さんげき)
大切なのは…呼吸の圧縮を常態化すること
ゆっくりの動作で、肺が破裂するほどの息を吸い込み圧縮させて留めつつ耐久力を跳ね上げる
そして限界を通り越した直後に入れ替わるようにして吐き出す、その際にも圧縮させたそれをどんな量でも一瞬で吐き出すほどの肺活量を常時意識することが肝心
とされている
全身に濁流のように、酸素の奔流が流れ込んでくるのを感じる
それをも通り越せば、新たな境地…
透き通る世界の先……
魂まで見通せる次元にまで到達する
全ての動きが光まで止まって視える(体感する)
それが恵土の言う、極めた者のみが辿り着ける最高到達点であり
透き通る世界の、更に遥か先に位置する次元の御業が神里眼だとのこと
その為…ヒノカミ神楽も透き通る世界も体得にほとんど全く時間が掛からなかったとも言える
全身の血が沸騰し沸き立つのを感じる
それでも…全身は破裂しない
これまでの修練がそうさせない
全身が熱を熱く帯び、常に熱の膜を纏っているかのように感じる
感覚的な主観で言えば、力が無限に湧いてくるのだと言う……
しのぶ「頭が爆発しそう!!」
恵土「はい留める」
ぺちん
様々な情報に頭がパンクしそうになるしのぶに
恵土が間髪入れず額を軽く手で叩く
しのぶ「そっちじゃない!!
呼吸のせいじゃない!!
恵土「え!?違うのか!!?;(驚愕)
しのぶ「全然違う!!!」
最早驚嘆の域に値するな!と杏寿郎から言われる中…
恵土「?
普通じゃないの?
皆も出来てたろ?」きょとん
『それとこれとは話が別!!/だ!!』
恵土「???」首傾げ困惑
自然に身に付けていた為
皆もその方がいいだろうと思い
敢えて静観していたのだと言う…
結論として言えば
剣術の腕は皆一様に同じだが
弟子達はさほど時間も掛からず取られたのに
恵土だけカナヲからお手玉やお弾きを取られるのに時間が掛かった大きな点(違い)はそこであったと…
『極み・常中』の難しさと効果(眼と動き)の発揮、『神里眼』の域(カナヲは擬似的にだが出来ていた)、違いをありありと示していた……
もう常中に耐えられる身体は身に付けているので
後は感覚で覚えるだけ、という段階だったらしい
入り口には既に皆、揃って立っていたと
そうなるよう修練を全て組んでいたとのことであった…