第7章 第6章
切なげに名前を呼ばれて
流されそうになるのを深呼吸して止まった
「離したくないって言ったら?」
首筋にキスされて
それを何とか拒否する
それでも近づいてくる唇に
ひたすら避けてたら
肩に顔を埋めて動かなくなった
「……俺と離れようとしてる?」
思わず跳ねる身体
もう肯定でしかなくて
「………うん。今日言おうと思ってた。
秋くん。ありがとう。
たくさん優しくしてくれて」
「………だめ」
ギュッと力を込められて
「………もう、充分教わったから。
秋くん居なくても大丈夫」
全部嘘
もっと一緒に居たい
もっと
もっと
「秋くんを皆んなに返すね。……大切な人のところにちゃんと帰って」
笑顔で言えてるかな?
涙が止まらないけど
肩から顔を上げて
私の顔を見て少し驚いた顔をする秋くん
「……そんな顔すんなよ」
「秋くん。離して」
抱きしめられてるのを
解放されようと腕を押し退ける
「俺の大切な人は、つーちゃんだよ」
「…………嘘。ちゃんと正直になって。自分のいるべき場所に帰って。」
「つーちゃんの家に?」
「それは違う。私の帰る場所。……秋くんだってあるでしょ?本来の場所が」
すごくショックを受けた顔をする秋くん
もうここには居たくない
そう思って身支度をする
「………ばいばい。秋くん」
いつもやってくれるみたいに俯いてる秋くんの頭を優しく撫でて
私はその場を後にした
続く