第5章 それは瞬く星のように
白失は驚いているホークスの前まで来ると、持っていたアタッシュケースを机に置き、ケースを開いた。
「ホークス、この羽根を使ってください」
中には傷つかないよう1枚ずつ紙に包まれた剛翼が何枚もあった。
「白失さん、これ……!!」
よく見ると剛翼を包んでいる紙にはメッセージが書かれているものがほとんどだ。
開いてみると応援や励まし、感謝が綴られている。
「伝言も預かってきました」
『頑張れ』 『応援してる』
『勝ってね』
『ちゃんとご飯も食べるんだよ』
白失はそれらの言葉を預かった一人ひとりの名前も正確に記憶していた。
「この羽根、51枚は福岡から避難してきた方々から譲っていただきました。私が前にもらったものを含めて52枚あります」
譲ってもらったと一言で片付けているが、ヒーローへの信頼が揺らいでいる今、それがどれだけ難しいことか。
まして彼女は人と対話することが大の苦手だ。トラウマを抱えていると言っても過言ではない。
そんな彼女がヒーローと同じく批難の的となっている公安職員という立場で市民と交渉する……相当の覚悟、胆力、勇気だって必要だったろう。
ホークスの目頭が熱くなってくる。
「一度放たれている剛翼でも動かしていましたよね?これも戦いに使ってください」
「ありがとうございます……!本当に助かります」
ホークスは思わず白失を抱きしめていた。
「やっぱりあなたは優しい人だ」