第15章 ・決意
トウキョウのネオン、ニホン酒のキレ味、そして耳を劈くギターの爆音。
それらの記憶を胸に、ゾロの身体は一瞬にして、仲間達の待つ青い星……ワノ国は鬼ヶ島跡へ飛んで行った。
「……行っちまいましたね……本当、奴はNiceGuyですよ。あいつがギター弾ける様になるの、楽しみだなあ」
「そうだね。でもその前に……奴等を徹底的に叩かなきゃならない。君がゾロを連れて安心して世界ツアーをやる為の、一仕事が待ってるよ」
「そうでしたね……魔界もニンゲンの世界も……トウキョウも守り抜きますよ、絶対」
「流石は北欧の魔神ロキだ。早速、本日付けでトウキョウも君の管轄に加える……頼りにしてるよ。ところで……君は本当にゾロに会わなくて、良かったのかな?」
ルシファーがバルコニーに向かってそう言うと、その声に答える様に、静かにテラスドアが開いた。
驚いたロキは、思わず呟く様に訊ねた。
「閣下、おれ達の他にも誰かいたんですか?」
「黙っていて済まなかったね。素直にゾロに会えばいいのに……彼は結局、会わなかったんだよ」
その声と同時に、バルコニーから見知らぬ者が姿を現した。
肉体を持たない、青白くぼんやりとした思念体。
しかし、その立ち姿は凛とした侍のそれであった。
その者は、深く頭を下げて口を開いた。
「閣下、忝ない……立派に育った大甥を見られて感無量……ロキ様、某の大甥がお世話になった様で……某からも礼を言わせて頂こう」
「あんたは……?」
「はっ……某、ワノ国は元鈴後の国の大名……霜月牛マルと申す……ロロノア・ゾロは、某の大甥でござる」
「え?ちょ、ちょっと待て……なんでBrotherに会わなかったんだよ。知ってるんだろ?あんたの事」
「……いいえ。大甥は、某の存在も、己の血筋も存じてはおりませぬ」
牛マルの言葉に続き、ルシファーが口を開く。
「ゾロ自身……『霜月』と言う大名の血を引いてる事は知らないからね。牛マルさんはゾロを混乱させない様に、こうやって陰から見守っていたのさ」
「そ、そうだったのかよ……あいつ、ニンゲンとしてもそんな凄え血を引いてたのか……」
「某も、大甥があの様に逞しく成長してくれて……何も言う事はござらん……この先、苛烈な戦いが待ち受けていると見受けますが……きっとここに戻って来ると、この牛マル、確信しております」
