第14章 ・新境地
「ちょっと待て……ユニフォームって、こんなにあるのか?」
「はい、そうなんです。しかも、毎シーズン、デザインが変わるんですよ。因みに、このクラブは昨シーズン、二十回目のリーグ優勝を果たし……十回優勝する毎に一つ付く『Seconda Stella』……二つ目の星を獲得したんです。その二つ星が今季のユニフォームに付けられたんです。特にホームユニフォームは、ボディの中央で左右非対称のデザインを採用した斬新さも相まって、大人気だったんですよ。今季は残念ながら無冠に終わってしまいましたが、来季はきっと優勝すると、私は思ってます」
「へえー……Seconda Stellaか……それはイタリア語なんだな。確かにデザインも悪くねえ、気に入ったぜ」
「おっ、Brother……お買い上げかな?」
「勿論だ。青と黒の色合い、おれは嫌いじゃねえぜ。それにこの星の意味がな……おれも自分の刀に、それ相応の重みを刻まなきゃならねえ……もっと頑張らねえとなって、思ってよ」
ゾロはそう言って静かに微笑んだ。
暫く考えた末、ホームユニフォームを購入する事にした。
手にしている雑誌を一冊、代表のユニフォームも、勿論お買い上げ。
特に、クラブユニフォーム……エンブレムの上に輝く二つの星……『Seconda Stella』に、強く惹かれた様である。
そんな彼に、店員は思い出した様にこう切り出した。
「そう言えば先日、来季……25-26シーズンのユニフォームが発表されたんですよ。グラデーションの掛かった細い縦のストライプが斬新なデザインで、勿論Seconda Stellaも付いてますよ。当店でも入荷間近になっておりまして……」
店員の言葉を遮る様に、ゾロは思わず声を上げた。
「な、何っ?来季のユニフォームもあんのかよ!」
「はい、予約が可能となっておりますが、如何致しましょうか?」
「予約、か……」
ゾロは迷わず、ロキの顔に視線を移す。
「ロキ……悪りぃんだけどよ、ユニフォームが届いたらおれの代わりに……」
「おれが取りに来て、お前に送ればいいんだろ?」
苦笑しつつも快く承諾したロキに、ゾロは満面の笑みを浮かべて頷いた。
……こうしてゾロは、今迄全く興味のなかったギターに続き、今迄全く見向きもしなかったサッカーのユニフォームを、この日初めて購入したのだった。
