第14章 ・新境地
次にロキは、ゾロを若者が集う街へと誘った。
スクランブル交差点に着くと、三刀流の剣豪は歩みを止めた。
信号が青になった途端、四方から人々が一斉に歩き出し、川の様に流れて行く。
ここは『シブヤ』。
不思議な魅力を持つこの街に、ゾロは完全に惹き付けられていた。
巨大な3D映像の看板が、彼の視線と好奇心を奪う。
若い魔神族、外国人観光客、学生、奇抜なファッションの若者達、そして洒落たビジネスマン……その全てが、シブヤ独特の世界を生み出していた。
「ここがシブヤだ。ちょっとテンション上がるだろ?」
「ああ……今迄行った所と、ちょっと雰囲気違うな」
「そうだろ?このシブヤこそ、この国の多様性文化の発信地なんだぜ!!これからBrotherを『ファッショナブルな剣豪』にするから、覚悟しとけよ!!!」
ロキはそう言って笑いながらゾロの背中を叩いた。
スクランブル交差点を渡るゾロは、渋い顔のまま付いて行く。
が、しかしその瞳は、何時になく明るく輝いていた。
ロキがその交差点の南に、ゾロを案内する。
「シブヤと言えば……この『忠犬ハチ公』だぜ」
そこに堂々と建てられていたのは、行儀良くお座りした一匹の犬の銅像だった。
ゾロは首を傾げ、ロキに訊く。
「この犬が……どうかしたのか?」
「こいつはなあ、昔々……亡くなったご主人様の帰りを、ずーっとここで待ってた、とっても賢い犬だったんだとよ……だから『忠犬ハチ公』って呼ばれて、銅像になったって話だぜ。今じゃ待ち合わせ場所にも使われてる、ムチャクチャ有名な場所なんだ」
「……へえ、こいつ……ずっとここで、死んだ飼い主を待ってたのか……」
ゾロがその忠誠心に感心しつつ呟いたその時。
「おお、ゾロではないか。しかもロキも一緒とは……まさかここで会うとはな。お前達も、シブヤでショッピングか?」
脳内で直接言葉に変換される、聞き覚えのある機械的な声。
振り向くと、そこにはやはり見覚えのある姿。
声の主は紅い星型の魔神……デカラビアであった。
大きな青い瞳に、ゾロの姿がはっきりと映っている。
「お、デカラビアじゃねえか!お前、なんでここにいるんだ?」