未来の旦那様、婚約破棄してください【呪術/五条悟/R18】
第1章 蘇る記憶。
ここは···何処だろう?
たぶん、夢の中なのだと言うことはわかる。
和室の一室に"私"がいて、長い艶やかな真っ直ぐに腰まで伸びた絹糸のような髪が揺れた。
鏡の中に写る"私"は、艶やかな振袖姿で一人佇んでいた。
切りそろえられた前髪から覗くのは、深い青い色の瞳。
五条悟とは違った、深海のような青い色の瞳をしていた。
きゅっと結ばれた唇には、浮かばない表情。
整った表情は憂いを帯び、瞳は微かに揺れている。
「これから五条家のせがれとお見合いをすると言うのに、何て顔をしている。いいか?これはこの家にとっても···」
(あぁ、なんてうるさい···)
平成の世に廃れたような風習。
五条家との見合い話は勝手にこじつけられたようなものだ。
呪術界の4番目に力を持つ神里家は、代々氷雪家の術式を受け継いでいた。
そしてその術式を色濃く受け継いだのが"私"だった。
(五条悟とのお見合いなんて、冗談じゃないわ···)
以前、一目見てわかった。
五条悟と言う人間は、私の手に余る人物だと。