すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第16章 ほんの少しのかけ間違い
「で、だ。」
「はい?」
「昼間のあれはどういう事だ?」
「ですので、あれは…私からやらせてほしいってお願いして…」
「嘘つくなよ?」
「ついてないです。」
「ならいいけど…」
「心配、してくれてるんですか?」
「当然だろ」
「……え、っと…」
「それともなんだ?俺が心配するのはうっとうしい?」
「いえ、そんな事はないです。逆に嬉しい限りで…」
「そう?」
「はい…」
カチャっと端を置けば凜桜は俯くように目を伏せた。
「…どうかしたか?」
「いえ…その…」
「なんだ」
「二人きりで食事っていうのも…なんか…」
「不満あるんじゃねぇか」
「不満じゃなくて…緊張して…」
「家でも一緒に食ってるだろ」
「そうなんですけど…外でって…」
「…確かに?外で二人っきりってのは珍しいな」
「そうなんです…なんか緊張して…」
「なんでだよ」
クスクスと笑う住吉につられるように凜桜もフッと笑みがこぼれていった。
「…まぁ?たまにはいいんじゃねぇの?」
「え?」
「こうして二人で外食ってのも」
「…・・」
「なんで無言なんだよ」
「だって…いいんですか?」
「なんで?」
「だって…」
そう。凜桜の中では前に小宮との食事の時に住吉に話した際、あまり乗り気ではなかったように思えたのがいまだに心に残っていたのだ。
「…ま、凜桜が気持ち乗ればってところか。」
「私はいつでも!」
「…クスクス…」
「なんで笑ってるんですか…」
「だって…どっちなんだよ。これからも行きてぇのか、行きたくないのか」
「行きたいですよ…でも」
「もしかして前の小宮さんの事、引っかかってる?」
「……ッッ」
図星を突かれた凜桜だった。