第1章 里帰り
夏目side
二「しかし驚いたな、あのとか言う小娘、相当大物の白い龍の妖が付いておった。」
夏目「悪さはしないんだよな、先生。」
二「アホ!あれは最も位の高い妖の類だ。どういうわけかあの小娘を気に入り、守っているのだろう。」
夏目「そうか…何か彼女の側にいる理由があるのかな。」
二「あの小娘からは独特な気配がしたからな、何かあるのかもしれんが。まあ、龍なんてものは何を考えているのか分からん奴らだ。放っておけ。」
夏目「さんか…」
ごろんと布団に寝転ぶ。
名取さんからここら辺の地帯の妖について調べるのを手伝ってほしいと言われた俺は、ニャンコ先生と暫くこの土地に滞在することになっていた。
今日はその初日にも関わらず、ニャンコ先生とはぐれた上に、山でおかしな妖に絡まれ気絶してしまっていた。
そこをさんが見つけてくれたらしい。
長い黒髪に綺麗な瞳のその神秘的な雰囲気のさんの背後には、真っ白な龍が付いていた。
何をするでもなく、まるでずっと見守っているように。
とても美しい龍で思わず見惚れてしまったが、彼女は見えないようだった。
夏目「また…会えるといいな、さん」
二「ん?なんだって?」
夏目「あ、いや、何でもない。」
ニャンコ先生が喉の奥を鳴らす。
二「しかし、龍のついてる女と言うのは色恋については苦労が多いという話しを聞いたことがある。なんでも龍の気が強すぎて、なかなかそれを受け入れることの出来る器の男がいないとの事だ。」
夏目「!…そうか……」
確かに、静かな中にどこか芯の強さを感じさせる、不思議な魅力のある人だったな。
__また、会えるだろうか。
二「お礼を買っていくのだろう?近くに美味そうなまんじゅう屋があった!そこへ明日行けば良いではないか!」
夏目「先生、ただ自分が饅頭食べたいだけだろ…」
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