第1章 誰にも渡さねえ【爆豪】
春の風が吹き抜ける校庭。
ヒーロー科の喧騒から少し離れたベンチに座るあたしの隣には
爆豪勝己ーー
あたしの幼なじみで
そしていちばん近くて遠い存在がいた。
爆「お前、またアイツと喋ってたな」
「......アイツって?」
わざととぼけると
爆豪は舌打ちして顔を背けた。
さっきまで一緒に課題してた
轟くんのことだってすぐに分かった。
爆「チッ......あんな氷野郎に
ニコニコしてんじゃねえよ。腹立つ」
「なにそれ、勝己には関係ないでしょ」
爆「は?......バッツカじゃねえの、
関係しかねえよ」