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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第21章 「可惜夜に眠る 前編**」


「付き合ってられるか。おい、帰るぞ」

 

真希さんが、担いでいた竹刀袋を持ち直して踵を返した。
その声は本気で冷え切っている。

 

「しゃけ!」

「私も帰る! もう銀座で買い物して帰る!」

「俺もビーチバレーできないなら、帰るわ」

 

真希さんの号令に、全員が即座に頷いた。
民族大移動のごとく、みんながゾロゾロと出口へ向かい始める。

 
(えっ……ほんとに帰るの!?)

 

「み、みんな……! せっかく来たのに……!」

「も帰るわよ! こんなとこいたらカビ生えるわ!」

 

野薔薇ちゃんが私の腕を引く。

 

「で、でも……っ」

 

私は、みんなの背中と先生を交互に見た。


どうしよう。
このままじゃ合宿が解散になっちゃう。
だけど、どうしたらこの空気を変えられるのか分からなくて。
迷ってるうちに、みんなの足音はどんどん遠ざかっていく。

 

「あーあ」

 

先生は、わざとらしいほど大きなため息をついて、空を仰いだ。

 

「残念だなぁ。掃除さえ終われば、この後は『うちの別荘』で豪華バーベキューだったのになぁ~」

 

――ピタリ。

 

玄関を出ようとしていた全員の足が、魔法にかかったみたいに止まった。

 

「……今、なんて?」



野薔薇ちゃんが、ゆっくりと振り返る。
先生はニヤリと口角を上げて、続けた。



「向こうの別荘にはね、ビーチもあるし……」

「専用シェフが焼く、A5ランクの黒毛和牛も用意してあるし……」

「そうそう、キンキンに冷えた高級メロンもあるんだけどなぁ~」

「あーあ、帰っちゃうなら仕方ないねー。僕ひとりで食べるかー」



ゴクリ、と誰かが生唾を飲み込む音が、静まり返ったボロ宿に響いた。



「……く、黒毛和牛……」

「……メロン……」



野薔薇ちゃんと虎杖くんの目が、獲物を狙う猛獣のようにギラギラと輝き始める。
先生はさらに畳み掛けるように、私のほうを見て言った。
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