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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第5章 「境界に口づけて」


「……翠色の目?」



低く呟く声。
その一言だけで、空気が少し張り詰めたのがわかる。


はびくりと肩を震わせた。


五条はすぐに視線を戻し、平静を装った口調で続けた。



「……それで?」



促されるように、は唇を噛み、続きを告げる。



「その人が――悠蓮って名乗っていました」



は布団を握る手に力を込め、言葉を続けた。



「……それだけじゃなくて――私は、悠蓮の“器”だって」



喉がひりつく。
でも、言わなければならないと思った。


その言葉に、五条の空気が、すこしだけ変わった気がした。
静けさの中に、見えない緊張が走る。



「……私、どうなっちゃうんでしょうか?」



絞り出すように問いかけると、彼のサングラスの奥で、じっと何かを見つめる気配がした。
怯えているのに、見捨てられたくなくて――視線をそらせなかった。


すると。


五条の手が伸びてきた。



「せ、先生……?」



言葉が終わるより早く、腕を強く引かれた。


そのまま――息を呑む間もなく、唇が塞がれた。



(……え……?)


一瞬、何が起きたのかわからなかった。
けれど、その唇はあまりにも確かだった。


少しだけ湿った熱。
逃がさないように重ねられる力。
吐息が交じるたび、全身が痺れる。


(どうして……)


拒まなきゃいけないのに。
でも今は――


このまま、落ちてしまってもいいと思った。


耳の奥で、心臓が喧しく打ち続ける。
世界が、熱と沈黙だけに染まっていく。


ほんの数秒。
されど、永遠にも似た一瞬。


そして――


離れた唇に、まだ彼の温度が残っていた。
それだけで、体の奥まで焼けつくように熱かった。
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