第20章 「君の心をさらったその日から**」
「それと、この件。助っ人を呼ぶことにした」
硝子さんがマグカップに入ったコーヒーを飲みながら、話を続けた。
「須和清仁。……来週にはこっちに来る」
すわ、きよひと。
頭の中で、その名前をなぞるみたいに繰り返す。
つい最近、どこかでその名前を見たような――
テレビ……? 本……?
あ、熊本のご遺族の家にあった本だ!
気づいた瞬間、思わず声が上ずった。
「す、須和清仁って、あの……!?」
「“次期ノーベル賞候補”って言われてる、あの須和清仁……さんですか!?」
「他にいるか?」
硝子さんが当然のように言って、マグカップを机に置いた。
「須和さんは、元々は高専の“窓”もしてた。呪霊も呪力も、視認だけはできる」
「今はもう本業が忙しくて、こっちの仕事は受けてないけどな」
“窓”――
術師ではないが呪いを視認できる高専関係者。
「……信用できんの? そいつ」
目隠しの奥で、先生の視線が鋭くなる気配がした。
硝子さんはそんな先生の様子にも動じず、コーヒーをひと口飲んでから答えた。
「大学のときの先輩なんだよ、須和さん。学生時代、ある呪霊に悩まされててね。私が術師を紹介したのがきっかけで、“窓”として高専の仕事をするようになった」
「へぇー……」
先生が気のない声で返す。