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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第1章 「邂逅 ― 目覚めの夜 ―」


***


しとしとと降り続く春の雨が、古びた校舎の窓を叩く。
その奥、明かりひとつだけが灯る会議室。
集められた数人の大人たちの間に、重苦しい沈黙が流れていた。


家入硝子は報告書を閉じ、深く息を吐いた。



「呪力の残穢はゼロ。だけど……“術”だった。呪力とは別の、変な力」

「で、私の反転術式も弾かれた。拒まれたって言ったほうが近いかな」



冥冥は爪を眺めながら、つまらなそうに目を伏せていた。



「……異質だね。ま、私は金にならないなら興味はないよ」



夜蛾は腕を組んだまま沈黙していたが、やがてちらりとソファに目をやる。



「――悟。お前はどう見る?」



足を投げ出していた五条悟が、ゆっくりと身を起こす。
にやりと口角を上げた。



「いいね、面白そうじゃん」



硝子がジト目を向ける。



「真面目に聞いてた?」

「ちゃんと聞いてたよ。呪力じゃない力、でも呪霊を祓った。で、硝子の反転術式を拒絶。面白くないわけがない」

「だからって、遊び半分で近づくんじゃないわよ」



五条はゆっくりと立ち上がり、窓の外の雨に視線を向ける。



「わかってるって。……硝子、その子高専に連れてきてよ。
放っといたら、どうせ上の連中に潰されるんだから。
こういう子を扱えるのは、この世で僕くらいでしょ」



そう言って、五条は口元だけで笑った。
雨音の中、その笑みは妙に軽く、そして不思議なほど頼もしく見えた。





その夜、運命は静かに動き出した。







五条悟と――二人を中心にして。


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