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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第4章 「触れてはいけない花」


は中庭のベンチに腰を下ろしていた。
柔らかな風が髪を揺らし、散り残った桜が足元に落ちていく。


でも――


胸の中は、春の移ろいよりもずっと落ち着かない。


(……先生に、抱きしめられた)


昨夜の出来事が、何度も頭の中で反芻される。
あのときの体温、耳元で響いた声。
思い出すだけで心臓が落ち着かない。
どうしてこんなに苦しいのか、自分でもわからなかった。





「あ、、いたいた」



不意に名前を呼ばれて、は肩をびくりと震わせた。
振り向くと、五条が片手をひらひら振りながら歩いてくる。
陽だまりのような、いつも通りの笑顔。


――それなのに。


(……なんで。顔を見ただけで、こんなに苦しいの)


痛む鼓動に耐えきれず、は視線を逸らした。
まっすぐ見つめたら、何かが崩れてしまいそうで。



「昨日、あの後大丈夫だった?」



心配してくれている。
ただそれだけなのに、どうしてこんなにも苦しくて。
でも、どこか甘い。



「……昨日は、すみませんでした。なんか、取り乱しちゃって……」



かろうじてそう言うと、は深く頭を下げた。
目を合わせないように、必死で平静を装う。


五条は気にした様子もなく、肩をすくめた。



「いや、別にいいけどさ。たまたま教室通りかかったら、が寝てて」

「起こそうと思ったら急に飛び起きるからさ。びっくりしたよ。怖い夢でも見た?」


(先生はいつも通りなのに。私だけが……おかしい)


返事をしなければと思うのに、言葉が見つからない。
ほんの少し間を置いて、ようやく声が出た。



「……はい。ちょっと、変な夢で……」



夢に出てきた女の影が一瞬よぎり、は視線を落とした。



「ふーん。まぁ寝るのも大事だけど、教室の机はおすすめしないなぁ。首痛めるよ?」



そう言って、五条がの隣に腰を下ろした。
五条の洗い立てのシャツの匂いが、ふわっと香る。
耳に届く声も近くなる。
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