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【天は赤い河のほとり】短編集

第2章 カイル:01│女神のいない大地で


【女神のいない大地で】ドリームside
カイル:恋人│3(2/2)/3P┃3500文字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
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瞬く間に訪れた水の季節最後の日。

ユーリを還すためにわたしはあの大男───カシュガ族のズワと再び剣を交える。

皇妃の妨害が必ず入ると分かっていたのでこちらは完璧な布陣。カシュガなど相手ではない。


無事に返還の儀式は済んでホッと一息ついた時に、優しく暖かな風が私をふわっと包む。

(カイル?)

姿を探すと高台に登る階段のところでわたしをうなづきながら見ている。彼の元へと駆け出すと、まるで『着いて来い』と言うように階段を上がって行った。



「どうしたの?」

軽く息を整えて微笑むと街を見渡したままのカイルが口を開く。

「ハットゥサは美しいな…わたしはこの大地を守りたい」

「そうね…あなたなら絶対にできるわ」

寄り添うように並んで腕にそっと手を添えた。


「これからもわたしと同じものを見続けてくれないか?」

いつの間にかカイルはわたしを見つめていて、その瞳はとても熱を持っている。

「それって………」

わたしが言葉を紡ぐ前に、優しく口唇が触れた。

「大切にする…」

何度も繰り返される優しい口づけ。あまりに優しすぎるそれがカイルの愛のように感じて、涙が頬を伝う。


陽射しは光が煌めいてとても美しい。

愛するハットゥサの大地を見つめながら柔らかい風がわたし達を包んでいた。


fin. 
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