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【天は赤い河のほとり】短編集

第2章 カイル:01│女神のいない大地で


【女神のいない大地で】ドリームside
カイル:恋人│2(1/2)/3P┃3500文字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
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夜───

カイルの宮に泊まることになったわたしは中々眠れなくて、窓際で一人、月をながめている。

にぶく輝く月は寂しげに浮かんでいた。

【いまカイルはユーリと寝所にいる】

(こんな時刻に共にいても、カイルが本気でいやがる相手に手を出さないのは分かっている。それにこれが仕方のないことなのも………)

(でも………………)

『かような夜が来るなんて思わなかった』と誰にも気づかれないようにつぶやいて、静かに静かに声を押し殺して涙を流す。




静かな空間に、突然ガタンと物音が響く。

そして話し声が聞こえた。

(子供の声のような…)

広さに比べてもカイルの宮殿は少人数しかいないので[子供]と言うのは限られてくる。

(ティト……?)

様子をうかがうために声のする方へと向かう。こんな深夜に他に人はいなくて、目的の人物はすぐに見つけることができた。

(え……………………………)



予想通りのティトと、今はここにいるはずはないユーリ。ふたりの姿が目に飛び込む。

(なんで、彼女が………)

柱の影で息をひそめて聞いたのは、これからふたりで皇妃のところに行くという話。

(え“え“え“え“え“。ウソでしょう?………カイルにあんなに止められていたのに?苦肉の策で寝所だって共にしたのに……)

(信じられない…)



夜は[魔]が強まる時間。

(あの子………完璧に皇妃をナメてる。皇妃の恐さが分かっていない)

「ふー」と小さく息を吐いた。

恐らく他に誰も気づいていないであろうこの現状は『とてもじゃないけどあのふたりでは危険過ぎる』と思う。

とっさにそういった考えに至ったわたしは急いで準備をする。そしてもう向かったであろうふたりを静かに追った。
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