• テキストサイズ

【天は赤い河のほとり】短編集

第4章 ルサファ:01│雨が上がる時


【雨が上がる時】ドリームside
ルサファ:片想い│5/9P┃6500文字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
熱い肌。湿った吐息。流れる涙。

この人に触れてしまえば、いやなことや気持ち悪さは少しもなくて、わたしの身体はすんなりとルサファさんを受け入れた。たとえ彼がわたしを少しも見ていなくとも。

理由も分からないその悲しみを飲み込んでしまいたかった。どんなに近くにいても心が触れ合うことは決して無いとしても。

(ただ抱きしめたい。そんな顔をして涙を流すのに放っておくなんてできない)

それでもルサファさんに触れられる肌は喜びに熱を帯びていて『わたしは彼がこんなにも好きだったのか』と自覚せざるを得なかった。





辺りが白んで来た頃にふと目を覚ますと、ルサファさんの寝台でその香りに包まれて彼の腕の中で眠っていたわたし。

暖かい肌と早朝のひんやりとした空気。

昨夜の行為が思い出されると、ぎゅっと胸をしめつける。それを振り払うように首をふり、眠るルサファさんを起こさないように気を付けながらそっと静かにその腕から抜け出した。

(簡単に素早く身支度を整えて彼が目覚める前に姿を消す。きっと、昨夜のことは覚えていないだろうから)

最後に涙の跡を残して寝ている彼のこめかみに口唇を落として「さよなら…」とつぶやく。

それでにじんだ涙は知らないふりをする。


(15/11/28→24/03/11)
/ 38ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp