第4章 ルサファ:01│雨が上がる時
【雨が上がる時】ドリームside
ルサファ:片想い│3/9P┃6500文字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
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ガヤガヤと騒がしい店内で、普通にお客様としてルサファさんと久々に会えたのはあれから数ヶ月後のこと。
戦争が行われているご時世だから、軍人である彼も当然のごとくに遠征に参加していて、無事に凱旋したルサファさんは同僚と共に店を訪れてくれて戦いの話に花を咲かせていた。
楽しそうに己の武勲や日常のことを話しているお仲間達の中でなぜか彼はひとり、浮かない顔をしている。
(気にはなるけど………まさか気軽に聞けるような間柄じゃないじゃない)
そうは思っていてもわたしは仕事の間中、その表情が気になってばかりだった。
豪快な他の隊の隊長さんや他のお仲間さんがキレイなお姉さん達をたくさん連れて店を出て行くけど彼は副隊長と二人で飲み続けるようで、そんな様子にこっそりと安堵の息をもらす。
二人になった彼らの話し声がわたしの方へ聞こえることは無く、表情を曇らせたままのルサファさんにわたしができるのは注文されたお酒を届けることのみ。
それも今夜は初めて見るほどに相当ムチャな飲み方をしているので心配が後を絶たない。
副隊長が帰ってからも閉店間際の時間になるまでとことん一人で飲んでいて、最後のお客になって閉店と共にふらふらした足取りで夜の闇に紛れて行く。
人としても[酒場の店員]としてもそんな状態の人を放って置けるハズもない。拳をにぎりしめたわたしは片付けを放り出して、その後姿を追った。
執筆日(15/11/28)
変加筆(24/03/10)