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【天は赤い河のほとり】短編集

第3章 イルバニ:03│刹那は貴方から始まる


【刹那は貴方から始まる】ドリームside
イルバーニ:婚約者│1(3/3)/4P│5000字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
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「それは………そんなことになられましたらイル・バーニ様に不利益になるのでは。元老院への印象も悪くなるのでしょう?」

「多少のことは致し方ない。今回の件を未然に防げなかったわたしの落ち度です」

痛む胸を押さえながら必死で言葉を探します。

(───必死?どうして……………)



「なぜ…わたくしに……そのようなお話を、して下さったのですか。そのおつりなら何事もなく婚姻を破棄することもできたはずでしょう。それは………それはわたくしへの誠意と優しさですよね」

自然に口を突いて出るその言葉は『聞き分けのよいわたくし』ではないようでした。


「…………構いません。イル・バーニ様」

「……なにを言っているのです」

「あなたが殿下のご結婚を待つのでしたら…わたくしもあなた様をお待ちします」

「そのようなこと……!?」

目を大きく見開いたイル・バーニ様を真っ直ぐに見つめて続けます。

(こんなに自分の意思を………勇気を出したのは初めてなのではないでしょうか)


「このような形で出会ったわたくしにも誠実さを見せて下さったあなたのことが知りたい。そんなあなたの不利益になることをして欲しくないのです。だから、だからわたくしとご婚約して下さい」

(女性からそんなことを言うなんて………そんな恥知らずなことをまさか私がする日がやって来るなんて思わなかったわ)

初めて会ったお方なのに、なぜこんなにもしつこい執着を見せたのか───それはこの時のわたくしにはまだ分からないことでした。


変加筆(24/02/17)
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