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【天は赤い河のほとり】短編集

第3章 イルバニ:03│刹那は貴方から始まる


【刹那は貴方から始まる】ドリームside
イルバーニ:婚約者│1(1/3)/4P│5000字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
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わたくしが彼を知ったのは元老院に名を連ねる父が持ってきた縁談でのことでした。


「第三皇子殿下の乳兄弟の育ちでな。皇子の書記官としても有能だと聞くし、非常に将来有望な若者なんだ」

「イル・バーニ様…」

「あぁ。我が愛娘を嫁がせるのに不足はない。おまえも嬉しいだろう?」

「はい。わたくしはお父様が選んで下さる方でしたら喜んで」


父が珍しくもそれはそれは嬉しそうに笑っているので『イル・バーニ様』と言う方がいかに素晴らしい肩書きをお持ちかが分かります。

(どんな方がお相手だろうとわたくしには選ぶことも断ることもできないのですから。気づいたら『第三皇子殿下の書記官の奥方』になっているのでしょう)

政略結婚や一方的に望まれての婚姻が当たり前の常識で[せめて良い条件で家の役に立つ]それがこの家の娘が不自由なく育ってきた最もたる理由なのですから。

(イル・バーニ様も『好きになれたらいい』なんて過分なことは願いません。ただ、きらいにならないお人柄だったら………それでいい)
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