第3章 ふたり、それぞれの午後
風が、またひと吹き、通り抜けた。
は花壇を見つめたまま、
ふうっと小さく息をついて、顔を上げた。
その視線が、何の前触れもなく、こちらへ向いた。
ランダルは動けなかった。
逃げることも、隠れることも、できなかった。
まるで、
光の中に釘付けにされたみたいだった。
と、目が合った。
柔らかな、驚きのない目だった。
すぐに、の顔がほころぶ。
「――あれ?」
彼女は、笑った。
まるで、偶然道ばたで友達を見かけたみたいな、
ごく自然な、あたたかい笑顔だった。
ランダルは、
何か言わなきゃいけないと思った。
でも、喉がひゅうひゅうと音を立てて、声が出なかった。
は一歩、こちらへ近づく。
「ランダルだよね?偶然だね!」
その無邪気な声に、
ランダルは、うまく頷くことしかできなかった。