第2章 2
◇
翌朝。
私はyasuさんに起こされた。
寝惚け眼を擦りながら体を起こすと、yasuさんがくしゃっと頭を撫でて、「おはようさん」と笑ってくれた。
───どうやら、昨日はあれから泣き疲れて眠ってしまったらしい。
泣き顔と寝顔を見られた恥ずかしさで、なかなかyasuさんの目を見られなかったけど、yasuさんが「帰る」と言ったので、私も見送ることにした。
「じゃ、これで帰るから」
「はい、ありがとうございました。……いろいろ…すみませんでした」
そう言って頭を下げる。
yasuさんが乗っている車は、偶然にも私の借りている駐車スペースに置いてあった車──そう、あの不審に思った車だった。
──道理で見覚えがあると思った。
◆
頭を下げた彩夏に、俺は気にするな、と笑う。
「俺も、来て良かったって思っとるから、別に気にせんでええよ」
頭を上げた彩夏も笑う。
2人で顔を合わせて笑った後、俺は気になったことを言ってみた。
「せや。たまには、大した用事なん無くても、電話なりメールなりしてな?」
「え?」
彩夏が目を丸くする。
俺はちょっと拗ねたように口を尖らせる。
「やって彩夏…いっつも西條にばっかり電話するやろ?西條ばっかりズルいやん」
「ズルいって…」
「俺らはみーんな、彩夏からの電話とかメール…めっちゃ待ってんで?」
◇
車の運転席から身を乗り出すようにして、yasuさんが私に上目遣いで言う。
「…お仕事とか、プライベートの邪魔をしちゃいけないかな…って思って…」
「そうやと思ったわ」
呆れた、という感じでyasuさんが溜め息をつく。
それを見て私は慌てて言った。
「分かりました!!これから電話とか…メールとか…するようにします」
「よっしゃ、言ったな!?俺らもその気になって待っとるからな!?」
「は、はい…」
「反対に俺らも、youがどんな言葉で噛んだか、とか、shujiがパチスロでいくら勝った、とかしょうもないメールを、毎日のように送ったるからな♪」
「ほ、程々に…お願いします…」