【WIND BREAKER】夜が明けたら【R指定】
第3章 人嫌いってやつ
「何で十亀と知り合ってんの?」
何でこんなに怒ってるの?
詰め寄る様に聞かれて、私は疑問に思ったが、それを言葉にしたら余計に場が悪くなると分かっていたので、口にはしなかった。
「……バイト先で絡まれて……助けて貰った……。」
嘘は言っていない。
最初の出会いは違うが、何故かそれは言わない方が良いと思って黙っていた。
恐る恐る、梅宮くんを伺う様に答える私に、梅宮くんは大きくため息を吐いた。
そのため息に私の肩が、ビクッと跳ねた。
「…あのさぁ…、何で俺が怒ってるか分かってる?」
「え?」
梅宮くんの言葉が皆目見当も付かないので、思わず間抜けな声が漏れてしまった。
怒らせてる?私が?
焦って怒らせている原因を考えている私に、梅宮くんはもう一度ため息を吐くと、私の手を握って歩き出した。
「っちょっと…。」
いきなり歩き出した梅宮くんに、私は躓きそうになりながら引っ張られる。
足の長さが全然違うので、梅宮くんは歩いていても、私には小走りになっている。