【WIND BREAKER】夜が明けたら【R指定】
第15章 これからってやつ
「商店街を好きになってくれてありがとう。」
そう愛おしそうに言う梅宮くんの顔に、胸が痛いくらいに高鳴った。
好きになったは商店街では無くて梅宮くんだった。
だけど、梅宮くんが大切な商店街の人達を、梅宮くんと同じ様に大切に思えたのは、そばに梅宮くんは居てくれただからだ。
そしてその世界は私の全てを変えた。
きっともう眼帯を取って過ごしても、ここでは不快な思いをしないと知った。
眼帯を取ったのは条くんでも、それを受け入れる事が出来たのは梅宮くんのおかげだった。
「…梅宮くん。…私を好きになってくれてありがとう。」
きっと沢山の遠回りをしたと思う。
だけどその度に諦めずに手を差し伸ばしてくれたのは梅宮くんだった。
お互いを傷つけた時期もあった。
でもそれ以上に、お互いが好きだと気が付いた夜も沢山あった。
「沙織さん、俺が見つけて俺の沙織さんになってくれた。」
こんな出会いは運命だと思える位に、あの時高架下で沙織さんを抱き締めたのが自分で良かったと思った。
俺たちは沢山の夜を超えて傷付いて、同じ分だけ愛し合えた。
だから今ではなんの疑いもなく抱きしめて、キスをしながらいつも思う。
『この夜が明けたら、真っ先に君に会いに行く。』
ー完ー