【WIND BREAKER】夜が明けたら【R指定】
第2章 出会いってやつ
「困ってるのぉ?」
見知らぬ男に声をかけられて、私は自販機に腕を突っ込んだまま固まった。
「………お構いなく……。」
こんなみっとも無い体勢で話なんてしたくなかった。
私はフィッと彼から目を逸らして何とか500円玉を掴んだ。
(やった!)
腕を引き抜くと、何事も無かった様に自販機でジュースを買った。
ガコンとペットボトルの落ちる音と共に、チラッと彼を見るとまだ横に居る。
随分と長身の男だが、まだ顔に幼さが残っている。
何となく自分より年下なのは分かったが、何故か彼は私を見て動かない。
…………このまま放っておこう。
私がした決断は彼を無視するだった。
目線は気になるが、私はさっさとペットボトルを掴んでその場から離れようとした。
「?!」
それは、なんの前触れも無く気が付いたら眼帯が彼の手の中にあった。
彼が動いたのも全然分からなかった。
ゆっくりした喋り方の癖に、手は早かった。