【WIND BREAKER】夜が明けたら【R指定】
第7章 愛執ってやつ
「………ん………。」
浅い眠りから目を覚ますと、目の前に綺麗な男の寝顔が間近にあった。
どう見てもそれは十亀条だった。
「………………。」
記憶を呼び起こさなくても、しっかり抱かれている腕も、体の痛みが私に教えてくれる。
私は………。
条くんに抱かれた。
知ったばかりの情事に、簡単にこの身を目の前の男に任せた。
「……………。」
私は嫌な冷や汗を流して、寝ている条くん腕をそおっと外した。
これは……完全にアウトだろう。
相変わらず情欲に耽っている時間は短くて、冷静さを取り戻した今の感情は【後悔】が頭の中を支配する。
私ははぁっと大きなため息を吐いて、顔を手で覆った。
…………。
条くんは行為の最中、私に何と言った?
回らない頭で記憶を遡る。
見下ろされた条くんの表情から、恋慕の気持ちが見えていた時もあった。
だけどその表情の大半は、私と一緒で情欲の色が濃かったはずだ。
私を抱いていた条くんの表情を思い出すと、顔がかぁっと赤くなった。