【WIND BREAKER】夜が明けたら【R指定】
第6章 純情ってやつ
薄暗い部屋の中で、お互いの熱い息だけが聞こえた。
布団の上に置かれた彼女の手を握りながら、俺の唇は沙織ちゃんの頬を掠める。
キスをしている訳でも無くて、唇で沙織ちゃんの顔や首筋をなぞっている感じだ。
息や唇が首筋に触れる度に、彼女の身体がピクっと反応する。
組み敷いた彼女を前にどう触れればいいか分からなかったが、こうして沙織ちゃんの反応を見ていれてば、沙織ちゃんに触れたいと言う気持ちが勝手に湧き上がってくる様だった。
今1番唇を押し付けたいのは、やはり彼女の唇だ。
俺は顔を起こして、沙織ちゃんを見下ろした。
俺の行動に戸惑いながらも受け止めている彼女の表情は顔を赤らめながら困った様に俺を見ていた。
少し濡れている沙織ちゃんの瞳にと目が合うと、俺の背中にゾクリと刺激が走った。
俺は繋いでいた手を離すと、沙織ちゃんの唇に触れた。
(……柔らかい……。)
親指で彼女の唇をなぞって、気持ちの良い感触を楽しんでいれば、やはりこの唇にキスをしたくなる。