第39章 お使い、そして…
青藍と私が着いた時には…数時間前に出た時の村とは様変わりしていた。
「なに、コレ…」
一面瓦礫で埋め尽くされるように…地面は剥がれ、異様な静けさの中での子供の泣き声…
「…沙烙…沙烙!!」
「沙烙様!!!」
「どこ…沙烙!!」
その声に気づいたのは波珊と詩氾だった。
「…なんでお前…!」
「申し訳ございません」
「波珊、私のせい。青藍は悪くないよ。それより沙烙は?」
「沙烙様なら…」
そう言って詩氾が私を沙烙の元に連れて行ってくれた。
「…沙烙…!」
「なんでいるんだ、」
「帰ってきた。」
「薬は…」
「届けた。」
「なんで…泊まってこねぇんだ」
「嫌な予感して帰ってきた。」
「あのなぁ…仕事放棄してんなって…」
「うるさい」
「…ぁあ?」
「何もできないよ…足手まといかもしれないよ…!だけど…だからって…何も知らないまま、ぬくぬくとしてろっていうの?」
「そりゃ、理世は玄奘から預かった大事な女『そういうの…!』…理世?」
「そういうの要らない…三蔵に頼まれたからって…特別扱いは嫌だ!死んだらそれまで…解ってるよ…約束もした…だからって…守られてばかりは嫌だ…」
傷だらけの沙烙の法衣をグッと握りしめて…私はこぼれる涙をぬぐう事すら忘れて感情の赴くままに言葉を発していた。
「…ハァ…悪かった…」
「ほんとよ…ッッもう…嫌だ…」
「理世?」
「もう家や…大事な人たちを失うのは嫌だ…・・ッ」
エゴだと言われたっていい…わがままだと笑われても…子供だと…なんと言われてもいい…もう…
一人はやだ…・・----