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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第35章 もう一人の三蔵


「ここを、理世の家にしねぇかって話だ。」
「…え…家って…」

ドクン…と胸が跳ねる。

「…それって…ねぇ…三蔵…」
「あぁ」
「…ッッ…」
「言っておくがこの村は、沙烙が経文の力も使いながら守ってくれてる。妖怪が居てもこの結界の中にいるのはまだ異変の影響を受けていないものだけだから心配はない。」
「…安全って事…?」
「あぁ。沙烙が無事の限りはな」
「…不吉な事言わないでくれるか?」

そう言いながらもうつ向いた理世。

「…ま、返事は急ぎ目でもらえればと思うがな。おい玄奘」
「なんだ」
「出発はいつだ?」
「二日後を予定している。」
「高山病の対策は?あるのか?」
「……いや」
「だろうな。明日薬一緒に持ってくる。」
「…助かる」
「それと…」

すっと座りなおせば三蔵に向き直る沙烙。

「…少しだけ理世と二人だけで話をしたい」
「…解った。」

そうして三蔵は立ち上がり、部屋を後にしていった。

「…さて、と。」
「…あの…沙烙さん」
「沙烙でいいって。聞きたいことがある。」
「はい…」
「何が出来る?」
「何って…えと…」
「何か力を使う事は出来るか?」
「体力はそれなりにしかなくて…あ、でもご飯作ったりはそれとなく…」
「あー、違う…」

クスクスと笑いながらも沙烙はつづけた。

「…回復とか…魔力とかは?」
「ないです…そういうのは…」
「そうか…」
「あの…そういうの無いとやっぱり難しいですか?普通の人なんですけど…」
「…いや?全然。だって玄奘だってただの人間だろ」
「まぁ…そうですけど…」

そう話す沙烙。フッと表情も和らいだかと思えば頬杖をついて話し出した。
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