第12章 番外編【貴夜に出会うまで】
まただ。
リビングから親の口喧嘩の声が聞こえる。
何故顔を合わせ口を開けば喧嘩ばかりするのだろうか。
昔からそうだった。
まだ俺が小さい頃から、子どもがいる前でも構わず喧嘩をする。
一体何を考えているんだ。
両親の間には、愛がない。
当然それは俺に対してもだ。
俺が小学5年生になった途端、母親は俺の世話をしなくなった。
『全て自分でやれ、私には頼るな』
それから、母親とは会話をしていない。
父親も父親で、俺の事は気にしていない様だった。
そうか、この2人にとって俺は、邪魔者なんだ。