【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第14章 華麗なる幕引きを
数日後、探偵社のドアの前に鏡花と香織、その後ろには敦がいる。
女子二人は一緒に探偵社のドアを開けた。
「「「鏡花ちゃん、香織さん、入社おめでとう!」」」
クラッカーが鳴らされ、鏡花は目を輝かせる。
しばらくした後に乾杯をし、各々料理を食べる。
「敦、お前達の作戦行動で街は破壊を免れた、社の先輩として一言言うべきだろうと思ってな……報告書は明日迄だぞ」
その後、敦は国木田にぐちぐち言われ、国木田は酒の付き合いとして与謝野に連れて行かれた。
「敦君、お疲れ様」
「如月さんもお疲れ様です」
「なんか‥‥大変だったみたいだね」
「はい、終わった後は疲れました」
「MVPは鏡花ちゃんと敦君、芥川君だね」
「如月さんも入ってますよ!」
敦の隣で同感するように鏡花が頷く。
「……あれ?……そう言えば太宰さんは?」
「あ、確かに……いないね」
◆ ◆ ◆
その頃、太宰は美術館らしき建物に居た。
「変な絵だねぇ、このくらいなら私にも描けそうだ」
太宰の隣には広津柳浪が居た。
黒蜥蜴・百人長リーダー
広津柳浪
異能力−−落椿
「君は凡そ何でも熟すが……君が幹部執務室の壁に描いた自画像を覚えているのかね?」
「あぁ、首領の処のエリスちゃんが敵の呪い異能と勘違いして大騒ぎ」
そのことを思い出した太宰は笑った。
「広津さん、例の件助かったよ」
「あの程度で善かったのかね?私は白鯨潜入作戦を樋口君に漏らしただけだが」
「彼女が知れば芥川君に伝わる、芥川君が知れば必ず乗り込んで来る……予想通りだ」
「そこまでして芥川君と虎の少年を引き合わせた理由は何かね?」
「確かめたかったからさ、芥川君は単独でも十分破壊的だけど本来は中・護衛で真価を発揮する異能者だ。敦君のように速度と根性骨を持つ前衛を補給してこそね」
「何時から此の状況を目指していた?」
「敦君と最初に会った時から……新しい世代の双黒が必要だ。間もなく来る『本当の災厄』に備える為にね、此処から先の展開は私にも見えない。けれど奴は既に動いている筈だ……嘗て私が一度だけ会ったあの『魔人』は必ず」