【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第6章 災いを呼ぶ者に終焉を
「太宰君!」
香織は太宰に紙切れを見せる。
「少しは人間性があったようだね」
「唯斗!」
香織が唯斗の方を向くと唯斗の身体が透けて見える。
「その身体‥‥」
「やっぱり奇跡は起こらないかぁ」
「‥‥唯斗、消える前に言っておきたいことがあるの」
「ん?なーに」
唯斗はいつもと変わらない返事をしながら香織に耳を傾ける。
「私は唯斗が傷つけられるのが嫌だ。いつも唯斗に頼る私が嫌だ。私は‥‥弱いから」
崩れ落ちる唯斗の目線に合わせるように香織がしゃがみ込んで、ギュッと香織は両方の拳を強く握る。
「だから唯斗が傷つく。そんなの、私は嫌だ!私は強くなって唯斗とは助け合える仲間でいたい!」
「香織‥‥」
「いつか私が心の底から自分自身で強いって認めて、唯斗が必要だって思ったら‥‥その時は一緒に戦おう。それまでは休んでて!」
にこっと香織は唯斗に向けて笑いかける。
「‥‥分かった。でもボクのこと忘れないでよね」
ゆっくりと唯斗の身体が消えていく。
(終わったんだ。全部)
多少の犠牲はあったがヨコハマの平和を守れたことが何よりも嬉しい。
朝日が校庭に差し込み、香織は空を見上げる。