【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第25章 悲劇なる日曜日
車で移動した国木田達が現場に着いたのは予定時刻の五分前だった。
「時間は!?」
「あと五分です!」
国木田の問に谷崎が答える。
「探偵社以外の組織が入れば人質が死ぬ!賢治!軍警を足留めしろ!他は俺に続け!」
『近くに非常用の出口があるはずです。そこから建物内部に入り込めます』
無線から聞こえてくる香織の言う通り、少し離れたところに非常口の扉があった。
◆ ◆ ◆
「やぁ先生!もうすぐ下半身とお別れだけど感想は?」
「巫山戯るな、秘書‥‥否、『天人五衰』。仮令この身が両断されようと父と私が築きし国家司法機関が必ず貴様を滅ぼす」
「それでこそ司法省の王!ふむ‥‥半年世話になった恩で特別に貴方だけは助けよう!」
ゴーゴリは拘束が解かれた斗南にスマホを渡す。
「これで救援を呼ぶといい」
「舐めるな、下郎。貴様の顔は覚えた。必ず捕まえる」
「‥‥貴方が羨ましい」
「鳥籠で生まれた鳥は己が囚人だと気付かない。己が不自由だとすら知らず、檻の中で幸福に死ぬ」
「何を言っている?」
「見えないだろう?檻はここ、『頭蓋骨』だよ。僕達は出られない‥‥この温かく湿った地獄から」
『コノ、温カク湿ツタ地獄カラ』−−−ト彼ハ云ヒタリ