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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第2章 出逢いは突然で






「ち、遅刻だー!!」


今日は運悪く目覚ましが機能しなかった。
急いで制服に着替えて、バックを肩にかける。
適当に食パン一枚を袋から取り出し、それを口に加える。
行儀が悪いと言われるかもしれないがそんなこと言ってる場合ではない。
学校まで少し距離があり、それまでに胃にぶち込めばいいだけの話だ。

「起こしてくれたっていいじゃない。」

一緒に住んでいる友人の顔を浮かべながらヨコハマの土瀝青を走る。
此処ヨコハマでは常識では考えられない現象を起こす特殊な力−−−異能力と呼ばれるものがある。
そしてそれらを使う者を異能力者と呼ばれている。

「てか待てよ、この状況‥‥少女マンガにあった食パン加えるやつに似てる!」

食パンを咀嚼し終わり、既視感のある状況に気づいた。
このまま行くと角を曲がる際に誰かにぶつかるのがお決まりだが生憎、食パンは食べ終えている。

「でも角を曲がるとすぐ学校なんだよなぁ。」

このまま何も起こらずに終わって欲しい。
心の中で願ったがそれはあっさりと砕け散った。

「っ!?」

「おっと」

念には念をというやつだ。
角を曲がる際に走っている足の速度を緩め、歩きにながら曲がろうとすると別のほうにやってきた人にぶつかりそうになった。

「あっ、すみません!」

思いっきり謝り、相手の顔を見ずに横を通り抜けた。
視界の隅に黒髪が見えた。
黒髪の人にぶつかりかけたんだなと呑気に思いながら学校へ着いた。







◆ ◆ ◆







「え‥‥」

教室に付いている時計を見た瞬間、息を呑んだ。
そしてしばらくフリーズしていたところを後から来た友人に怒られた。

「もう!先に出て行ったからびっくりしたわ!」

どうやら自室にあった時計が違うらしい。
本当の時間を表しているのは教室の時計だった。
確かに携帯を見ると教室と同じだ。

「ごめん、置いて行かれたと思って‥‥」

「置いて行かれたのは私よ!」

あの時間は何だったのだろうか。
帰ったら直さないとなと思いながらホームルームが始まるまでの間、友人の説教を食らうのだった。






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