【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第25章 悲劇なる日曜日
『共食い』より、一ヶ月後。
「−−以上、武装探偵社の多大なる安全貢献をここに讃え、祓魔梓弓章を叙する。君達探偵社は国の誇りだ」
凶悪犯罪者のフョードルを捕まえたことで探偵社は祓魔梓弓章を与えられることになった。
スーツ姿の福沢が政府の斗南司法次官から祓魔梓弓章を渡された瞬間、賞賛の拍手が空間に響き渡る。
その数日後、探偵社では会議が行われていた。
社員の一部は外の仕事やとある一人はサボりのようで会議室には国木田、与謝野、賢治、谷崎、乱歩、香織、鏡花、敦の8人。
「『殺人結社』?」
聞き慣れない単語に与謝野が首を傾げる。
「はい、政府より緊急の要請です。先ず被害者の写真を」
ホワイトボードに張り出されたのは上半身の皮が剥がされ、裏返しに着せられている写真。
「‥‥非道い」
「被害者は横浜の若手議員。会議を中座した後、五分後にこの状態で発見されました」
「見ての通り、議員は上半身の皮を剥がされ裏返しに着せられています。ご丁寧にも皮は高級襟衣こうきゅうシャツの縫製を施され、襟衣ネクタイや袖飾カフスで装飾。喉の裂傷と拘束痣から皮を剥がれる間も生存し、絶叫していた可能性が高いかと」
「大した趣味の良さだねぇ」
「同一犯による犯行が今週、四件起きています」
「四件も!?」
殺人が今週で四件も起きている事実に敦は驚きを隠せれない。
「沿岸警備隊コオストガアドの副司令頭部に腐食性劇薬を浴び、骨まで溶かされて死亡。死因は激痛からくる神経原性ショック」
「国防省・対外治安局の局長秘書。口腔から空気圧縮機エアコンプレッサーで超高圧空気を導入され、毛穴から全血液と神経を噴き出し死亡」
「最後に軍警・異能犯罪対策課の一等軍吏。『自殺草』とも呼ばれる南米原産の激痛植物を腋に植えられ密室に放置。自分の骨が露出する程掻き毟った後、自ら頭を壁に打ち付け、脳挫傷で死亡」
次々と張り出される惨い写真に敦は思わず顔を顰める。
「う…‥」