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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第23章 魔法使いの生還




会議が終わり、それぞれが席を立つ。
美鈴はその中にいる芥川に近付いた。

「芥川、医務室に行くわよ」

「医務室に用は無い」

「あんたさっきから変な咳してるでしょ、途中でぶっ倒れてご主人に迷惑かけたいわけ?」

「迷惑など---」

「聞こえなーい。ほら、行くわよ」

このまま抵抗しても力ずくで連れて行かれるのは目に見えてると思った芥川は引きずられるようして美鈴に連れて行かれた。

「はい、そこの椅子に座って」

自分で座らせるというより強制的に座らせたというのが正しいだろう。

「で、いつから咳が出始めたの?」

引き出しからカルテを取り出して芥川の返答を待つ。

「…一年前だ」

「病院は---行って無いわよね、その様子じゃ」

その後、芥川の心臓の音を聞いたり体温を測ったりと色々な検査をした。
途中で美鈴の顔が険しくなるのを芥川は横から見ていた。

「スイスに行ってそれなりに医療のことを学んだわ、それを踏まえた上で---」

「前置きはいい、早く言え」

「……あんたの病名は---」









「結核よ」














咳に微熱、過去の健康診断から大幅に体重が減っているのが分かる。

「そうか」

あっさりと受け入れる芥川に美鈴は少し驚いた。

「驚かないのね」

「そんな気はしていたからな」

「どうする?私としては入院して治療に専念するのがいいわよ」

「入院はしない。マフィアに居続ける」

「だよね〜なら抗がん剤で治すしか無いわ、薬を毎日飲むことになるけど」

「あと銀ちゃんには言っておきなさいよ、血の繋がった唯一の妹なんだから」

「ああ」

「今日のところは帰っていいわよ、明日抗がん剤を渡すから」

(あとはワクチン作らないとなぁ)

結核は感染するため今回の健康診断時にワクチンを打つ必要がある。
書類の棚から紙の束を取り出してペラペラとめくる。

(今日は残業ね、トホホ)

ワクチンと抗がん剤の生成に残業が確定した峻厳の女帝であった。



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