【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第16章 DEAD APPLE
任務帰りの香織は帰路に着いている。
「先週の火曜から行方不明になった会社員の男性ですが未だ見つからず警察は−−」
通りかかった家電ショップに置かれているガラス張りの中にあるテレビからニュースが流れる。
今日の夕飯は何をしようと考えながら歩く。
歩いていると見覚えのある後ろの姿の男性を見かける。
「あの人‥‥」
明らかに体調が悪そうに歩く人に香織は声をかける。
「あの、大丈夫ですか?」
「貴女は‥‥」
男性は香織の顔を覚えているようだ。
香織も知ってる人で驚く。
「貧血で少し目眩がしただけです。時間が経つと軽くなるでしょう」
「それならそこのベンチに座ってて下さい!私、何か買ってきます」
男性に有無を言わせず、香織は近くのスーパーに入った。
しばらく経つと袋を持った香織が男性の前に現れる。
「とりあえず水とチョコを買ってきたのでどうぞ」
香織は袋から取り出して水とチョコを男性に渡す。
「ありがとうございます。えっと‥‥」
「あっ、私は如月香織って言います!」
「フョードルです。どうぞフェージャと呼んで下さい」
「あ、はい」
香織はフョードルの隣に座る。
「ところで、フェージャさんは外国の人なんですか?」
「はい、祖国はロシアです」
「ロシア‥‥寒いところで大変ですね」
フョードルと話していた香織から電話が鳴る。
(国木田さんからだ)
「すみません。仕事の電話で‥‥」
香織はフョードルに一言言ってから少し離れた場所で電話に出る。
「もしもし?」
「如月、会議を始めるから戻って来い」
「はい、分かりました」
電話を切って、フョードルの元に戻る。
「上司に呼び出されたので私はこれで‥‥体調気をつけて下さい」
「はい、ありがとうございます」
香織は急いで探偵社へと帰るのであった。