第57章 rest
嘘 (pov雅)
愛してる…誰よりも…
失っていい事なんてなにもない…
こんな嘘でも吐かなくちゃ……
離れられない……
なのに……
「悟浄なんてただのエロだし…!それにいつもナンパばっかで……!一緒に居て恥ずかしいんだよ?」
そんな事ない……
ナンパしても根はすごく一途だから……
「悟空は口開けば『腹減った』ばっかだし…!?バカみたいに頼んでいっつも……ッ…」
いいんだよ……?
悟空の気持ちいい位の食べっぷりが好き…
「八戒も……八戒も口うるさいし…!何かほんとにお母さんとか…!!」
知ってる…
口うるさいのも私を思う優しさだって……
「三蔵…ッッ…すぐハリセンで殴るし!!短気だし…それに…!」
泣いちゃ…だめだ…
「それに…!!」
迷惑してるって…大嫌いだって……
言わなくちゃ……
でも、そう思うほど……
大好きしか溢れてこない……
ねぇ菩薩さん……?
早く…
いっそのこと…
殺して……?
今までの記憶や思い出が消えるなら…
これ以上嘘は吐きたくない…
「・・……ーーー?!」
何か言ってる…
でも耳を傾けたら気持ちか揺らぐから…
「雅、もう少し嘘が上手くなれよ、下手すぎだ」
そういう菩薩さんの声を聞いて…
グッと額を掴まれて………
「…最後位嘘吐かなくてもいいんじゃねぇの?」
そう菩薩さんが言う……
「さ…んぞ……」
ア イ シ テ ル ………
その一言は
誰にも聞かせれないように……
私は飲み込んだ……
頬を伝う涙が
私の三蔵達と一緒に過ごした日々を消していく…
今度出会うなら…
また…
愛してくれるなら……
その時には二度と…
離れないから…
三蔵も…
離さないで…
悟浄も…八戒も…悟空も……
皆ともっと…
普通の毎日を送りたい…
茶化されながら…
甘い日々を…
次こそは
忘れないように……