第7章 宵の告白
「でもたまにはいいかもな。」
「…ッ!!」
「置いてくぞ?」
「あ、待って!」
急いで後を追う雅。いつもよりも歩調は緩やかですぐに三蔵に追い付いた。
「三蔵三蔵!!!大食い大会だって!」
「好きにしろ」
「…てか、聞く前にエントリーしてんだろうが、この猿は」
「だって、食い放題だろ?」
そう話していると時間が来て、悟空はステージに上がる。街自慢の大男達が集まっていた。
「はっ!このガキが勝てるわけねぇし」
「♪♫…♪」
男達の言い分など一切聞かずに早く食べることだけを待っていた悟空。回りの観客さえも、まさか15分後には予想を上回る結果に驚かされる事になるとはこの時思ってもいなかった。
「優勝は悟空さん!!」
「へ…もぉほはり??」
「あーあ、食い過ぎだろ、あいつ…クハ…」
優勝賞金をもらい、三蔵達の元に戻ってきた。
「やったなぁ!猿!」
「猿って言うな!」
「でもこれで夕飯の後にでも少しお酒飲めますねぇ」
「俺飯!」
「はいはい、」
「雅は、酒飲めんの?」
「飲んだことないの…」
「え、そうなの?」
「うん…」
「だったら今日、少し試してみませんか?」
「いいの?」
「もちろん」
そんな話をしていた。夜になり、食事も終わった後、宿に戻った五人はゆっくりと飲み直しをしようと準備していた。
「皆さんビールでいいですね」
「あぁ。」
「私なにかお手伝い…」
「じゃぁこれ、並べてください。」
「解った!」
そう言って軽いおつまみをテーブルに並べた。グラスが一本だけあるのに気付いた雅は八戒に問いかけた。
「ねぇ、八戒?」
「なんです?」
「これも?」
「えぇ、飲みやすそうなのを見つけましたから。」
にっこりと微笑んで八戒は顔の横に小さなボトルを掲げた。そうして準備も出来、皆の待つテーブルに向かった。
「来た来た!」
「こっち、来なよ!」
「早くしろ…」
そう言われて、八戒に続き雅も席に着いた。
「はい、どうぞ」
「え?」
「ビールは好き嫌いが激しいですし、初めてならこっちのカクテルのが甘くて軽い飲み心地ですし。」
「あらー、いつの間に…」
しかし、プシュっと言う音で一斉に三蔵へと視線が注がれる。気付けば悟空もつまみに手が延びている。