第54章 あなたの愛で繋いで
八戒の数歩前を歩いて三人部屋に向かっていく三蔵。
「入るぞ」
ノックも無しにがチャリと入っていく三蔵。悟空は傍について、ベッドの上では悟浄に巻き付いたままの雅と、三蔵が来た事ではぁっとため息を吐きながら小さく左右に首を振る悟浄がいた。
「ハァ…おい」
その言葉に雅の肩はビクリと震えた。
「…部屋戻るぞ」
「……だって…怜音さん…」
「居ねえよ」
「…ちょっと…三蔵?」
「なんだ」
「何があってこうなった?」
「ここの宿主の娘に抱きつかれた時に雅が戻ってきた。それだけだ」
「それだけって……」
「雅、戻るぞ?」
「……」
「ほら、雅?三蔵迎えに来たぞ?」
そういわれてゆっくりと離れるものの、雅はうつむいていた。
「何も……無かった?」
「ぁん?」
「怜音さんと…何も無かった?」
「ある訳ねえだろうが。そこの男と一緒にするな」
「ひっでぇ…クス……だそうだ。」
「……ッ」
ベッドから降りると雅は無言で三蔵に巻き付いた。
「あーあ、いちゃつくなら部屋行ってやれ」
「……戻るぞ」